さみだれ

さみだれに 紫陽花(あじさい)が
濡れてさみしい 石畳
ふたりでさした 相合傘の
落ちるしずくで 黒髪が
乱れた頬を この俺の
肩に埋めた お前はいない

古傷を お互いに
癒(い)やすふたりに なろうよと
一年前に 交した言葉
そんなお前が 好きだった
さみだれだけが 思い出を
胸に炎やして 無情に降るよ

離れゆく ふたりなら
なんで逢わせた あの女(ひと)に
運命に負けて 悔(く)やんでみても
俺につくした ひとときの
お前の愛と 眞心は
消えやしないよ さみだれ慕情
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