城ヶ島雨情

好きで別れた 人ゆえに
いまも消せない 面影を
利久(りきゅう)ねずみの
雨は女の なみだ雨
愛に引かれて 想い出を
ひとり訪ねる 城ヶ島

たとえ再び 逢えたとて
過ぎた月日は 戻らない
蛇の目持つ手の
指輪重たい くすり指
女ごころの 切なさを
知るや相模の 浜千鳥

傘をさしても 心まで
濡らす三崎の 磯しぐれ
辛いけれども
雨で消したい 未練火を
舟が出て行く 通り矢の
はなも日暮れる 城ヶ島

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