黄金の街

「ねぇ、ごらん、月が呼んでるよ」
「ねぇ、ごめんよ、すぐに戻るから」

いつだってそうだった 週末は一人きり
アナタはきっと違った顔で笑っているの

会いたいのに 会えない夜は この街を訪ねて
「月見草」という 小さな店で過ごす
窓際のシート 見上げるといつも月が笑いながら
トワイライトに黄金の街を照らす

「ねぇ、アタシも、月に連れってってよ」

いつだってそうだった 最後のキスはまるで
「ココに居なさい」と 諭すように優しく

話したいのに 話せない夜は この街のはずれの
「月見草」という 静かな店で過ごす
耳を澄まして まぶたを閉じても 聞こえないその声
しんしんと更ける 黄金の街の夜

この街の人は皆 悲しみを酒で薄めるのよ
喧騒と幻想が入り乱れた世界に溶け込んでゆく

泣きたいのに 泣けない夜は この街のはずれで
「月見草」という 静かな花になる
もしかしたら 今夜くらいは…って グラス傾けるの
終焉のない 黄金の街の夢
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