残響

慟哭が未だ離れないまま手を引く先へと
瞳に映る景色と面影は流れて過ぎ去る

叫びは霧が遮って

押し寄せる 怖れ隠して 限りなく白いだけの
無に刻んでいく 残響だけを頼りに

砕け散る感情の破片をそのままに置き去って
手にしては 手放して行き着く 見知らぬ果てまで

疼く胸抑えながら 決められた方向へ

付き纏う 怖れを連れて どこまでも白いだけの
無に描いていく 残響に導かれて

交差する諦めと希望 揺れながら明日を選ぶ
疲れ果て膝をつくたびに 耳元でまた囁きだす声

巧妙に噛み合って廻る歯車 止まること許さず
思惑の外へ 想定の裏側へ 踏み出した

静寂に独り立ち尽くしている どこへ歩いていくかも見えず
闇雲に手を伸ばす君に

裂けていく 迷いを抜けて 朧げに見えるだけの
欠片を拾う 残響を振り払って
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