百人の男

百人の男の 優しい腕よりも
あんたの冷たさが ただ恋しいときもある
一緒に死のうかと 馬鹿な気まぐれ
言葉あそびでも
酔えれば 酔えればいいわ
別離(わかれ)が音もなく しのびこむ夜は
あゝ 夜明けも早いのよ

優しく抱くよりも 両手をつかんで
昨夜(ゆうべ)は誰といた なにしてたと聞かれたい
からだよせあって はなればなれの
夢を追うなんて
耐えられ 耐えられないわ
かわいた砂のうえ 愛のかけらでも
あゝ 見つけてなぞりたい

男の淋しさが わかってたまるかと
独りで酒のなか 何故(なぜ)溺(おぼ)れて逃げ込むの
わざと乱ぼうに 喉(のど)をそらして
グラス飲みほした
気ままな 気ままな素顔
一度はくるわせて 泣かせてみたいわ
あゝ わたしのこのひざで
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