由良川恋文

幾度(なんど)好きだと 名前を呼べば
叫ぶこの声 届くでしょうか
ひとり京都の 由良川で…
跳ねて身を焼く 鮎になり
逢いに行きたや この生命(いのち)

赤い紅葉(もみじ)を 狭霧(さぎり)がかくす
川の瀬音が 道しるべです
ひとり京都の 由良川で…
焦がれ泣きする 白鮎の
胸の打つ音(ね)を 誰が知る

晩秋(あき)にはつ雪 かやぶきの里
募る思いは まだ冷めきれぬ
ひとり京都の 由良川で…
いっそこのまま 鮎になり
春を待っても いいですか
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