水葬

君が揺れる 朧げに 波音とワルツ
消えないで まだ 月灯り 彼女を照らして

乾いた唇には 淡い紅が 彩られて
静かに別れを待つ ショーケースの君は綺麗で
魚の目をしていた人々は 僕を押し退けて
無色に 傾げる嘘 逆様に 針を 打ち込んだ

高台へと続く 葬列に飛び込んで 今
君を奪い返して 海の底で眠りたい

果てない 広い水槽で 二人きり 明日を殺して
意味を持たず 浮遊する 藻屑になればいい
これは愛なのでしょうか それとも罪でしょうか
やがて 忘れ 過去になる そんなの 僕は 許さない

暴いた唇には 違う蜜の 香りがして
静かに ただ静かに 辻褄 合わさる音がした
「狂ってる 全部 狂っている」
逃げ惑う 君を追いかけて
無様に 傾げる嘘 想い出の数だけ 打ち込んだ

いつか魔法は 解けるかな 教えてよ ねえ
他の果実を食べて 眠りについた 君だから

いらない 全て あげるから 無機質な 明日と引き換えに
青いままに 腐食する 君を食べさせて
これは愛なのでしょうか それとも罰でしょうか
やがて 忘れ 過去になる そんなの 僕は 許さない

炎に舞い 土に帰す 終わりじゃ せつないね
愛し君に ふさわしい 永遠の はじまりを

果てない 広い水槽で 二人きり 明日を殺して
意味を持たず 浮遊する 藻屑になればいい
これが愛なのでしょうね それとも罪でしょうか
やがて ふやけ 転げ落ちる その瞳で 僕を見ていて
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