懺悔の裏窓

街の外れ 街路樹の下 ひとりの男 佇んでいる
アコーディオン 小脇に抱え 悲しい歌を奏でている

夢破れ 金もなく 家族もいない
愛も何も知らずに 年老いたけど
少しのお酒 家にあれば 彼はこれでも幸せだと

誰もいない 今はいない 愛してくれる人
望まない 望めない 幸せなど

酒呑みたち 語り明かす 楽しげな声 顔を上げると
美しい人 隣に置いて 煙草燻らす 男がいた

夢求め 自惚れて 女を捨てた
スポットライト 届かずに 年老いたけど
今も酒場で日銭稼ぐ こんな人生終わらせたい

誰もいない 今はいない 愛してくれる人
望まない 望めない 幸せなど

華やいだステージと 湧き上がる歓声
戻らない 戻れない 栄光の日々

或る日 彼は 姿を消した
懺悔の裏窓 灯りともして
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