男の路地裏

男の胸に いつからか
出来たちいさな 水たまり
飲んでどうなる この世じゃないが
他人(ひと)にみせない こころの涙
酒に今夜も 捨てに来る

世間の無情 かすり傷
風が体を 吹きぬける
いつか馴染んだ 居酒屋のれん
男ひとりの 手酌の酒に
夢の苦(にが)さを 噛みしめる

灯りもうすい 路地裏を
右に左に 千鳥足
責めてくれるな 男の弱さ
命ぬくめる 熱燗酒が
生きる明日(あした)の ちから水
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