リラの女

めぐり逢ってもどうにもならぬ
そんな二人が なぜめぐり逢う
久しぶりだね ただ ひとことが
風をゆらして 散らすリラ
ああ… すれ違っても気づかぬふりが
できなかったね 二人とも
北の小樽に リラが降る

銀の竜頭(りゅうず)を ゆるめただけで
時が昔に 流れるならば
命かけても 明日を変える
けしてお前を 離さない
ああ… 誰も一度は夢みるけれど
いつか知らずに あきらめる
二人 つかんでいたものを

ひとつこぼれた 紫色の
花は心の身代わりか
ああ… 時をへだてて静かに叶う
願いはなぜに哀しいと
霧が泣かせる リラの女(ひと)
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