真夏のサクラ

好きな歌さえも どこかに忘れたよう
人のぬくもりまでも そっと遠ざけて
めぐる季節の ふいの風にとまどい
夢すら見失う あなたなの

夏の陽 緑の葉 ゆれる木漏れ日
陽に焼かれ 風に吹かれる桜の木

春が過ぎれば 足をとめる人はいない
けれど桜は負けない

雨のあとにしか 虹はかからないから
夜明け前がいちばん 暗い時間だから
あきらめないでね いまのあなたは桜
季節はずれの 桜なの

冬の日 北の風 しなる枯れ枝
雲の下 みぞれに打たれ凍える桜(き)

春が過ぎれば 人は誰も家路を急ぐ
けれど桜は折れない

春が過ぎれば 足をとめる人はいない
けれど桜は負けない

春は来るから きっと来るから
桜(はな)は咲くから きっと咲くから
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