帽子の行方

あの海が見たくなって
今日も受話器を取ってしまいそうさ
そう あの頃へは もう

レンガ積みの あのトンネルを
過ぎればなぜか必ず夏だった
そう あの時も いつまでも きっと

波がいつも二人を
引き戻してくれたのに

海鳥も探していたよ
風に舞った 帽子の行方

あの頃は不安だけが
二人の心 つなぎとめていたね
そう 約束がこわかっただけさ

月よ 今日は涙を
照らさないでくれないか

海鳴りも気にしていたよ
夏に消えた 帽子の行方
×