父さんの汽笛

真っ黒な魚臭いゴツくて硬い手のひらで
洗い立ての頭を力まかせになでてくる

月末の夕食はいつも決まって侘しいのに
家族に言い張る うちには貯金が一億ある

船だしてゆく 背中から聞こえる
大きな汽笛の音が 迷わず前に進めと

僕の父さん 実はよう知らん 弱音は遠い海に
年に一回帰るとしても あと何回会えるだろう
父さんのこの笑顔 ずっと見ていたくて

見送りは桟橋で 手を振る姿小さくなる
鼻の奥がツンとなる 願いは一つ元気でいて

だいたいのことが今ならわかるから
父さんにさからってた日々 とても恥ずかしく思う

僕の父さん 実はよう知らん 朝日より早起きで
荒波を乗り越えてきた たとえ離れていても
父さんのあの笑顔 僕を導いてくれる

大きな汽笛の音が聞こえてくる

僕の父さん 実はよう知らん 弱音は遠い海に
年に一回帰るとしても あと何回会えるだろう
僕の父さん 実はよう知らん 朝日より早起きだ
荒波を乗り越えてきた たとえ離れていても
父さんのあの笑顔だけは 僕を導いてくれる
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