冬燕

ぷつりと千切(ちぎ)れた 絆の糸の
先からしたたる 女の涙
過ぎ逝く人の 名前を呼べば
こだまを消すよに 雪が降る
あいたい あえない 翼も凍(こお)る
ひとり置き去り 冬燕(ふゆつばめ)

ぽきりと手折(たお)った つららの刃(やいば)
この胸刺したら 一緒に死ねた
月日がたつほど 愛しさつのり
指先伸ばせば 闇ばかり
あいたい あえない はぐれた命
泣いてさ迷う 冬燕(ふゆつばめ)

喜び悲しみ ひとつに束(たば)ね
生きぬく覚悟が 真実(まこと)の愛よ
夜空で光る あなたの星に
今夜は抱かれに 飛んでゆく
あいたい あえます 夢でもいいの
春を知らない 冬燕(ふゆつばめ)
×