ダムの底

僕の声が悪意を持ったのは 物心ついてからすぐのこと
僕の俺が悪意を持ちだして たくさんの人をいじめた
僕の声はますます強くなり 歌いながら気持ちよく うそをついた
ダムの底の村に住んでいる 無い気を吐いた こじきの拍手はいらないよ

時速50kmの道を60kmで走る僕を クルマはどんどん追い抜いてゆく
目にもとまらぬスピードで 僕は街を駆け抜けてく
風よりも光よりも音よりも 先にゆく

夢の中で 君が笑う
夢の中で 君がくる
眠いよ

僕の声が悪意を吐き出すと 僕の心はだんだん澄んでいった
純粋すぎる奴は大嫌いだから 僕の口は 僕の心に唾を吐いた

ねぇ誰か 僕の思考を 今すぐ止めてくれないか
悩みそがどろり 世界へ溶けてゆく
ハエもとまらぬ汚物に囲まれて 僕は安らか
これでやっと 君と抱き合える

夢の中で 君が笑う
夢の中で 君がくる
眠いよ

僕の声が悪意を持ったのは 物心ついてからすぐのこと

×