ジャックナイフの夏

引き潮の防波堤に
隠れてた文字が
夕映えに連れて来たの
夏の出来事

陽に灼(や)けた 背中抱いた
風のぬくもり
瞳(め)を閉じて 振り向いたの
ひとり渚で

「裸のまま泳げよ…」悪戯な声の
裏でささやいてた真意(きもち) 気づかなかった

さびついた ジャックナイフのように
あゝあの夏を あゝ終れない
夢うつつ涙(CRY) 浅い眠りが
たどり着くのは あなたの入江

濡れた砂 躓(つまず)くたび
カモメが飛びたつ
切なさの 貝殻ひとつ
胸に置いて

若すぎて 見えなかった
夏の破片(かけら)に
ごめんね あなたひとり
傷ついてたのね

くるおしさに息を殺し 触れた胸に
あなたの指先が今も残っているわ

さびついた ジャックナイフが切った
6月の空 夏が降り出す
夢うつつ涙(CRY) 浅い眠りが
たどり着くのは 氷の入江

さびついた ジャックナイフのように
つのる想いが 断ち切れなくて
さびついた ジャックナイフのように
あゝあの夏を あゝ終れない
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