吠えたい雨

なつかしい季節の場面は ゆっくりと色褪せていった
何度手を伸ばし掴もうとするけど離れてゆくんだ
「行かんといて」叫んでも 遠くあの人は手を振って
消えた 消えた

周回遅れのランナーは孤立無援の中走っている
みじめな奴だと思うかい 彼は誇りのためやめないさ
笑い声と落胆の声は聞こえてたさ それでも
走る 走る

いくつも夜を越えて いくつも涙を越えて
誰もが時にはグッと悔しさの中 ふるえるほどに吠えたいんだ

どしゃ降りの中つっ立って それでもコブシを握って
おまえはひとり立っている 空を睨みつけ立っている
誰かの声がしたのさ 彼方の空から聴こえた
確かに知ってる声だった たまらなく会いたくなった
今日も立ち続けてるのさ 吠えたい雨の中で

もういよいよダメかなと呟く 夕暮れの甲州街道で
落ちる夕陽の美しさに はじめて帰ろうと思った
このまま終われるかよ 胸に言うしかなかったさ
やれる まだやれる

いくつも夜を越えて いくつも涙を越えて
誰もが時にはじっとさびしさの中 ちぎれるほどに吠えたいんだ

どしゃ降りの中つっ立って それでもコブシを握って
おまえはひとり立っている 空を睨みつけ立っている
誰かの声がしたのさ 彼方の空から聴こえた
確かに知ってる声だった たまらなく会いたくなった
明日を待ち続けてるのさ 吠えたい雨の中で

どこかで誰かが待ってる あいつがきっと待っている
憎しみの歌は欲しくない 背中を押す歌が欲しい

どしゃ降りの中つっ立って それでもコブシを握って
おまえはひとり立っている 空を睨みつけ立っている
誰かの声がしたのさ 彼方の空から聴こえた
確かに知ってる声だった たまらなく会いたくなった
今日も立ち続けてるのさ 吠えたい雨の中で
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