有明月夜

面影訪ねて 降り立つ町は
肥前(ひぜん)七浦(ななうら) 木造りの駅
袂(たもと)にしまった 恋しさが
潮に絡んで 騒ぐ夜
あゝ 有明月夜
旅路 照らして 愛に迷わぬように

幻でしょうか… 不知火(しらぬい)燃える
儚い女の 情念(いのち)を焦がし
溺れる未来(あした)に 踏み出せず
波に返した 愛なのに
あゝ 有明月夜
季節(とき)を 戻して こころ逸(はぐ)れぬように

未練が後引く 島原みなと
襟足さみしい 女がひとり
思い出見送る 桟橋で
風に優しく 抱かれたい
あゝ 有明月夜
なみだ 拭って 愛に迷わぬように
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