記憶にございません

あぁ 流れる空に浮かぶ羊の群れもメロディも
すべて記憶にございません

あぁ 白い腕も黒い髪も桃の頬も冷たい手も
もはや記憶にございません

なんにもないから なんでもなかったわけで
なんでもないなら なんにもなかっただけで
そんな風に 言い聞かせて

あぁ 振り絞った勇気やんわりと拒まれた枯葉の道
決して記憶にございません

クレヨンで描いた絵 消しゴムで消すみたいに
擦るほどに 滲んでくだけ

まわるまわるいつまでもただ
まるでそれはカルーゼルのように
かわるがわる歳月はただ
無表情な馬につかまって
ただただまわる まだまだまわる
いつまでまわる でまわる

あぁ 強がりでもなく諦めたわけじゃなく
我慢でもなく ただ涙だけ
溢れて零れて流れて川になり 海になる
されど記憶にございません
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