火の河

泣きぬれる 恋もせず
道ゆきの 恋もできずに
かくした恋が ひとつふたつ
おんな三十路(みそじ)の さびしさを
だれか解って くれるでしょうか
あなたとならば 火の河を
泳ぐさかなに なりましょう

この胸に ながれてる
熱い血を そっと抑えて
つつましやかに 生きてきたの
あなたください ほしいのよ
体半分 わたしのために
あなたと越える 火の河は
深いこころの 情け川

冬が明け 春がきた
野も山も さくら色です
いまこそすべて わたしのもの
おんな一生 身をまかせ
どこへ行こうと 定めのままよ
あなたとならば 火の河に
命つきても 悔いはない
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