少しだけ...

秘密で愛しさよならを言う理由もなく
ただの友達の二人は
「このままきっと歳をとるんだね」と
微笑んで夜の街を楽しんでいる
人込みの中は見失わない様に潜り抜けて
時折触れ合う腕には自然な思いやりが
行き交っている 少しだけ嬉しくて
少しだけ...

愛はそうこんな形が素敵
あたたかいから 愛おしいから
優し過ぎるけど...
愛はもうこんな形でいいと
静かに二人 知っている二人
切ないほどに

この街に居て幾つもの人々の出会いを
視つめて来た大通りにも
四季は廻るどんな出来事があったとしても
何処へでも自由な風が吹く

心を告げない愛なんてずっと小さな事件

独りで過ごせる夜をひとつだけ作ればいい
夜が明けるまで 少しだけ悲しんで
少しだけなら...
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