息子よ

あの日おまえは 旅に出た
二度と帰らぬ 黄泉(よみ)の国
おまえが遺(のこ)した 形見の酒場
グラス片手に 男泣き
熱い涙が こぼれた膝は
泣き虫だった 幼いころの
おまえが濡らして 泣いた膝

時節(とき)がたつほど 愛しくて
心砕けて しまいそう
おまえを抱きよせ この胸のなか
歌ったあの日の 子守歌
今も残るよ あの温もりが
澄んだ瞳で 笑った顔が
瞼の奥から 離れない

側におまえが 居ないけど
叱り励ます 声がする
袖にすがって 見て居て欲しい
親父が選んだ 演歌道
花の舞台で この身をけずり
命の限り 笑顔で歌う
おまえに届けよ 愛の歌
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