人生が二度あれば

父は今年二月で六十五
顔のしわはふえてゆくばかり
仕事に追われ
このごろ やっとゆとりが出来た

父の湯飲み茶碗は欠けている
それにお茶を入れて飲んでいる
湯飲みに写る
自分の顔をじっと見ている
人生が二度あれば
この人生が二度あれば

母は今年九月で六十四
子供だけの為に年とった
母の細い手
つけもの石を持ち上げている

そんな母を見てると人生が
だれの為にあるのかわからない
子供を育て
家族の為に年老いた母
人生が二度あれば この人生が二度あれば

父と母が こたつで お茶を飲み
若いころの事を話し合う
想い出してる
夢見るように 夢見るように
人生が二度あれば この人生が二度あれば…
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