石狩挽歌

海猫(ごめ)が鳴くから ニシンが来ると
赤い筒袖の ヤン衆がさわぐ
雪に埋(う)もれた 番屋(ばんや)の隅(すみ)で
わたしゃ夜通し 飯(めし)を炊(た)く
あれからニシンは どこへ行ったやら
破れた網(あみ)は 問(と)い刺(さ)し網か
今じゃ 浜辺でオンボロロ
オンボロボロロー
沖を通るは 笠戸丸(かさとまる)
わたしゃ涙で にしん曇(ぐも)りの 空を見る

燃えろ篝火(かがりび) 朝里(あさり)の浜に
海は銀色 にしんの色よ
ソーラン節に 頬(ほほ)そめながら
わたしゃ大漁(たいりょう)の 網を曳(ひ)く
あれからニシンは どこへ行ったやら
オタモイ岬の ニシン御殿も
今じゃさびれて オンボロロ
オンボロボロロー
かわらぬものは 古代文字
わたしゃ涙で 娘ざかりの 夢を見る
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