牧場の朝

ただいちめんに たちこめた
牧場の朝の 霧の海
ポプラ並木の うっすりと
くろい底から いさましく
鐘がなるなる かんかんと

もう起きだした 小屋小屋(こやごや)の
あたりにたかい 人の声
霧につつまれ あちこちに
うごくひつじの いく群(む)れの
鈴がなるなる りんりんと

いまさしのぼる 日の影に
夢からさめた 森や山
あかい光に 染められた
遠い野末(のずえ)に 牧童の
笛がなるなる ぴいぴいと
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