結婚はしたけれど

僕の女房は課長の娘 果報者だと騒がれて
結婚したのはよいけれど
『ちょいとあんた、あの、ご飯炊いて頂戴
ついでに、あたしの靴磨といて頂戴な』
てへへ あれだまったくやり切れぬ

今日も今日とて会社がひけて 家へ帰れば女客障子一重の妻の声
『あなた、ぐずぐずしないでお茶汲んできてよ
ええ、そうざますの。宅は本当に気が効かなくて、
うっふっふっふ』
ちぇっ とても癪だが泣き寝入り

たまのサンデーも遊びにゃ行けず 妻のお供でデパートへ
書生か亭主か分からない
『あなた、この柄良いわね。あの、これ買って頂戴
この柄も似合ってよ、あ、あの、あれも、それからこれも』
え~、うわぁ~ 荷物抱えてべそをかく

ヒスが起これば機嫌も取るし お世辞言い言い肩を揉む
カカアにゃ頭が上がらない
『あんたは一体生意気よ、ん? 誰のお陰で月給が上がったの
フン、あたしが課長の令嬢っての忘れないでね』
へ、へ、へっくしょい と言って亭主を尻に敷く
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