Dark fairy tale

Once upon a time there was a fairy king.
The changeling in a midsummer night's Dream.

世界の狭間でサンザシが風に揺れて眠りへ誘(いざな)う
闇夜に瞬き虹色に光る翅は妖しく舞った

火照る薔薇に夜露が濡れる
不治の病に魘された 人間(友)の初子に祝福を与え迎えよう

馥郁(ふくいく)とした時を

すべての美を讃えて生き続けるこの丘から
交わる魂の行方を 炎よ照らして行け

我らの力の証である珠玉(しゅぎょく)を贈り合おう
二つの種族は煌々たる月の下 誓いを立てた

母なる百合の花より生まれ 輝く朝と夜を纏った
我がとこしえの国の子よ 時満ちるまで
星の群れが見守るだろう たとえ世が道を分かつとも
夢でおまえを愛しぬこう 託(かこ)つことなく

だが瘴霧(しょうむ)が立ち込める

刃が永遠を殺す 迷妄(めいもう)ゆえに翅は穢れ
人の世で毒された心に声は届かぬのか
朽ち葉の船棺葬(せんかんそう)に付す 死がおまえを連れ去って行く
懐かしき我が子の額に最期の口づけと一雫の涙を残して

火花が咲き やがて無数の蝶が舞い上がる
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