夕鳴き海岸

あの日ここで 捨てたのは
小さな鍵と 幸せでした
思わず乗った ふるさと列車
逢いたいなんて 身勝手ですか
軋(キシ)む線路の 行き先は
茜に染まる 夕鳴き海岸

切った髪が 気になって
列車の窓に 何度も映す
あれからずっと 泣き虫だから
あなたを見たら 泣き出しそうよ
潮の香りが 懐かしい
夕萓(ユウスゲ)揺れる 夕鳴き海岸

古いままの 改札が
昔にそっと 時間を戻す
一度は捨てた この恋だから
悲しい時も 離れはしない
鴎みたいに 寄り添って
あなたと生きる 夕鳴き海岸
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