献杯

ひょっこりいつも 現れた
カウンター席の 端っこに
イカの塩辛 肴にして
夏でも熱燗 呑んでいた

目立たないけど 目立ってた
黙って話しを 聞いていた
人の心に 寄り添った
誰にも優しい やつだった

皆んな集まり 馴染みの店で
今夜も飲んでは いるけれど
お前がいなくなって 寂しくなったよ
今夜もお前に 献杯

本音言うほど 野暮じゃなく
さりとて軽い 訳じゃない
涙脆さを 隠すため
乾いた風を 纏ってた

聞かずもがなを 聞いてみた
余計なことだと 知りながら
苦労重ねた 身の上を
愚痴にも語らず 旅立った

皆んな集まり 馴染みの店で
今夜も飲んでは いるけれど
お前がいなくなって 寂しくなったよ
今夜もお前に 献杯

他人行儀な 顔をして
思い思いに 偲び酒
空のコップに 酒を足し
お前の分まで 飲み干した

お前がいなくなって 寂しくなったよ
お前がいなくなって 寂しくなったよ
お前がいなくなって 寂しくなったよ

今夜もお前に 献杯
今夜もお前に 献杯
今夜もお前に 献杯
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