恋歌

美しいガラスの恋の壷(つぼ)を
底深く秘めている湖よ
ゆれうごく風景 絵葉書には
いま明かす恋心 消しては書く
夢をとばせて あの空に
光る遥かな あの海にも
ああ教えたい そっと風に
教えたい そっと雲に
わたしのこの思い……

岸辺ゆく水鳥濡れた羽根よ
旅に出て気がついたこの愛に
もえてゆく夕日に身をまかせて
口移し伝えきた歌を聞こう
夢をとばせて あの空に
銀の耳輪を ゆすりながら
ああ何見ても そっと思う
何見ても そっと呼ぶの
だいじな人の名を
ああ教えたい そっと風を
教えたい そっと雲を
覚えた恋歌を……
覚えた恋歌を……
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