少年よ

なにげないこの小石もこの砂も
あなたの手や足がふれたと思うと
虹色に光って見えてきて
いつまでも頬を寄せていた
少年が駆けてゆく
苦しみなど知らないように
あなたにもあんなときがあったの……
あなたが歩いてきたこの道を
あなたのすべてを
すべてを抱きしめる……

なにげないこの街並、鐘の音
あなたがいつもきた広場のベンチに
あなたの涙がしみていて
わけもなくひとり泣いていた
少年が駆けてゆく
悲しみなど知らないように
あなたにもあんな時があったの
あなたが生きてきたこの町を
あなたのすべてを
愛さずにいられない
あなたのすべてを
愛さずにいられない
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