おんなの宿

想い出に降る 雨もある
恋にぬれゆく 傘もあろ
伊豆の夜雨(よさめ)を 湯舟できけば
明日(あす)の別れが つらくなる

たとえひと汽車 おくれても
すぐに別れは くるものを
わざとおくらす 時計の針は
女ごころの かなしさよ

もえて火となれ 灰になれ
添えぬ恋なら さだめなら
浮いてさわいだ 夜(よ)の明け方(がた)は
箸を持つ手が 重くなる
×