東京忘れ

いつものバスを降りてコンビニに立ち寄って
いつもより小さい方のシャンプーを買いました
部屋の灯りをつけて洗濯物をしまい
ベッドにもたれかかったときやっぱり涙がこぼれました

こんな風じゃ駄目だなって本当はずっとわかっていたけど

あなたと暮らした日々にもしも帰れるならば
例え同じ終りがきたって何度でも好きになれる
あなたの笑顔が変わらないでいたなら

初めて借りた部屋は殺風景な部屋で
ふたりで海へ行ったときの写真を飾りました
窓辺の植木鉢に水をやるのはあなた
歌を唄って聴かせるのはわたしの役目でした

なんでもない毎日でも幸せだって思っていたけど

あの日の薄紫の花はまた咲きますか
ひとりきりじゃ少し広過ぎる部屋を彩ってくように
去り行く季節を全部忘れるように

たぶん東京でのことは誰のせいでもなくてさ
大きな夢を見てたら小さな石ころにつまづいてさ
ふたりの道ふたりで選んでそれでよかったんだなって
そんな風に思えた頃窓辺に花が咲いて
風に揺れる薄紫が涙でぼやけて見えた
あの頃の涙と少し違う涙で
少し違うこころで
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