珈琲カップ

初めての旅行で買った そろいの珈琲カップ
いまどきペアなんて流行らない やめてくれよと照れるぼく
これがいいのと あなたは譲らなかったね
持ち帰ったカップは ぼくの部屋には派手すぎて
声をあわせて笑ったよ 笑ったよ
ふたりで飲んだカフェオレも ふたりで見てた夢さえも
すべて すべて知ってる珈琲カップ

三度目のケンカで割った あなたの珈琲カップ
カケラをかき集め泣いていた うしろ姿をおぼえてる
どうせ割るなら ぼくのを割ればよかったね
捨てぜりふにあなたは 濡れた瞳をくもらせて
何も言わずに出ていった 出ていった
ふたりじゃ狭いこの部屋も ひとりじゃ少し広すぎる
ひとつ ひとつ残った珈琲カップ

同じカップを あれからずっとさがしてる
見つからないからこそ いまも心の中にある
いまもあの日がつづいてる つづいてる
あなたと飲んだあの味は 苦いだけではなかったよ
ふたつ ふたつそろった珈琲カップ
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