おいしい水

雨が降りだした夜
部屋のすみで眼を閉じて
君が忘れたカーディガンに
そっと静かに触れる

君の後ろ姿が
小さく溜息をついた

部屋の明かりを消して
冷蔵庫のドアを開け
うずくまる一人の影
窓ガラスに映った

こわれた写真立ての
懐かしい君が見ている

耳をすませ耳をすませ
微かにほら聞こえる
耳をすませ耳をすませ
今この時つつんで

窓をつたう雨のしずく
ひとつひとつ輝く
君の描いたスケッチ
ひまわりの花が咲いてる

耳をすませ耳をすませ
秘かにほら聞こえる
流れてゆく忘れてゆく
今この時つつんで

耳をすませ耳をすませ
微かにほら聞こえる
耳をすませ耳をすませ
秘かにほら聞こえる
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