花びら心中

肌に咲いた この花は
ゆうべあなたが 噛んだあと
ほかの誰かに 抱かれても
燃えない身体に なりました
ざんざりら…ざんざりら…
くだけ散る 荒波に 裾洗う 鉄砲岬
ここから先は 浮き世を捨てる
月の輪くぐって
あゝあなたと 花びら心中

こんなはずじゃ なかったと
胸をまさぐる 濡れ吐息
風に舟底 ゆれるたび
抱きしめあうから またゆれる
ざんざりら…ざんざりら…
漕ぎ戻る 櫂もなく 流されて 呑まれる怒涛
あなたとここに 命を置いて
踏み出す波路は
あゝいちめん 花びら心中

ざんざりら…ざんざりら…
くだけ散る 荒波に 裾洗う 鉄砲岬
ここから先は 浮き世を捨てる
月の輪くぐって
あゝあなたと 花びら心中
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