オシャナー恋歌

薩摩女(おごじょ)が 口びるかんで
声を殺して 泣く夜は
オシャナー風吹く 時化になる
トコドッコイ イヤサカサッサー
どうかご無事で 航海灯に
合わす両手に 雨しぶき
私しゃ陰膳 すえて待つ
トコドッコイ イヤサカサッサー
ハイヤー ハイヤー

親の意見(こころ)に 背いてまでも
未来(すえ)を誓った あの人は
津軽若衆(やんしゅう) マドロスさん
トコドッコイ イヤサカサッサー
惚れちゃならない 他国の男(ひと)に
母の言葉が 身にしみる
私しゃ陰膳 すえて待つ
トコドッコイ イヤサカサッサー
ハイヤー ハイヤー

薩摩女(おごじょ)は 眞実一路
惚れたお方の ためならば
命捧げて 悔いはない
トコドッコイ イヤサカサッサー
船は出て行く 錦江湾を
燃えて上がるは 桜島
私しゃ陰膳 すえて待つ
トコドッコイ イヤサカサッサー
ハイヤー ハイヤー

遥か彼方は 平家の島か
波の谷間に 里灯り
あれは平良(たいら)か 上甑(かみこしき)
トコドッコイ イヤサカサッサー
明日の泊りは 呼子の港
境港に 行くと言う
私しゃ陰膳 すえて待つ
トコドッコイ イヤサカサッサー
ハイヤー ハイヤー
×