ピアノ

市営団地の夕暮れは 昔のまんまの秋うらら
何にも変わりのないとこが 寂しかったりするのです

あの頃せがんで困らせて ピアノを買ってもらってさ
狭い部屋には大袈裟で 随分無理していたろうな

時代(とき)の流れは真っすぐなのに 生きてくことは行ったり来たり

あぁ 私は笑えていますか
疲れた顔してるのかな…
どうしたんだろう 涙が溢れる
心たどるように そっとただいま
あぁ 空に一番星

誰の言葉も信じれず 最初に髪を染めました
初めて嘘をついたのも やっぱり同じ頃でした

結局団地じゃ迷惑な 鳴らないピアノを邪魔そうに
部屋を出て行く生意気を あの人は黙って見てました

埃だらけのピアノの音は 私みたいに歪んでいるね

あぁ あの日に戻れるのならば
伝えることもできるのに
なんでなんだろう 人はいつだって
後から気づいて そっと鍵かけて
そう 知らんぷりなんてね

ピアノの上に置かれた写真は あの頃のまま時が止まってる

あぁ あなたがもしもここにいて
名前を呼んでくれるなら
もう一度子供に返って
ありがとうだって ごめんねだって
ねぇ きっと言えるのに

幸せはここにちゃんとあったんだな...
一番星が笑ってた
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