啼くな小鳩よ

啼くな 小鳩よ 心の妻よ
なまじ啼かれりゃ 未練がからむ
たとえ別りょうと 互の胸に
抱いていようよ おもかげを

旅は はるばる 涯(はて)ないとても
呼べば届くよ 夜毎の夢に
思い出したら 祈ろじゃないか
つきぬえにしを 身の幸を

さらば 小鳩よ 心の妻よ
瞳曇るな また逢う日まで
帽子振り振り 後ふり向けば
暁(あけ)の野風が ただ寒い
×