眩惑の海から

あなたの海を 漂いながら
光が揺れる 水面を見てた

聞こえる声に 耳を澄まして
水の動きに この身を委ねた

あぁ
浅い眠りから 呼び戻す声は
目眩とともに 広がる
波紋になる

柔らかな時間だけ 緩やかに過ぎてゆく
寂しさも虚しさも 何もない

包みこむような 幼年期(あの日)の匂い
このままここで 眠り続けたい

あぁ
波間を彷徨う 貝殻のように
浜辺に打ち寄せられた
夢を見てる

近くなる近くなる 空を感じてる
現実か幻か わからない

あぁ
あなたが遺した ぼくは生きている
ここにいてはいけないと
気付きはじめて

あなたの海から 呼び戻す声が
目眩とともに 広がる
光になる
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