あたしの最高の嘘つき

先生は嘘つきです 絵空事で読者を騙す
あたしはそんな先生の嘘が大好きです
何百万書き連ねて言葉が尽きないのが不思議
たまには栞のような一日を過ごして先生

そのペン先の律動(リズム) 午後のインクの香り
いつか忘れるだなんてあなたは言うけど

お願い最高の嘘をついて あたしのためじゃなくていいから
最後の一頁まで嘘をつき通して

共に沈む覚悟くらい最初からできてる

ずっとずっと推理冒険 その大きな手 違う歩幅
分かってても気づいてても解かないでこの謎だけは

古い紙の手触り 机に向かう背中
やがて忘れる? さてね それはどうでしょうね

最高の嘘をついて 騙したのはあなたですよ
ええ仰る通り小娘ですとも あなたの被害者第一号です
だから最高の嘘をついて あたしのためじゃなくてもいい
あたしの最高の嘘つきさん どこか遠くへ連れてって
最後の一頁まで嘘をつき通して

書を拾おう お家に帰ろう 珈琲飲みましょう
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