シャボン

私は泣かぬよう うわの空のふりをして
最初の言葉を 思い出そうとした
揺れた森がこぼす 光に目細めながら
なんにも言わないでと 声を出さずつぶやく

明日は痛いほど また何食わぬ顔をする
なかないシャボンは宙を彷徨い すぐ消えた

あなたへの心の 流れ着くはずの場所を
ひとりで歩いたら 瞳ははらはらと

涙を河にして 封じ込めてた感情は
なんにも隠せやしない 口を開けたまま

私は声を上げ泣いていた まるで子供のように

空には雲ひとつ 春うららかな夜を待つ
はかないシャボンに映る 月が昇り 風の中で 涙枯れるまで
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