あっかんべぇ in the sunset

日暮れの山は空きビンの色のようで
今日を飲み干せなかった僕まで飲み干す
からっぽの空も空きビンの色のようだな
郵便ポストのペンキを溶かしたみたいだな

10年後の僕宛に手紙を書いて 胸にポツンと空いたポストに託した

日暮れの山よ、返事のフリしてヤッホーと 山びこ胸に響かせてくれよ

空きビンの色は温かくもさみしいね 何と何の色混ぜたらそうなんの
いろんな絵の具混ぜすぎたら悲しい色 パレット洗い流そうとする涙

出勤間際せわしなくお茶漬け流し込み
食道伝う熱をすぐさま隠そうと冷まそうとする体
それに似た感覚いつからだろうか
自分より熱のあるものあたたかいものに臆病になったのは

あっかんべえではなく切手を貼るために 切手を舐めようとしたベロなんだ
まぶたの裏でかくれんぼしている僕を帰らすために
人差し指、下まぶたを下げたんだ

遠く 遠く……遠く 昔の記憶にも
遠く 遠く……遠く ぼやけた未来にも
遠く 遠く……遠く 空きビン吹けばかすれた音が
空きビン吹けば震えた音が 君も空っぽのままゆきなよと
遠く 遠く 届く 届く 届く 灯るのだ
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