少女と紙風船

紙風船ふくらませ
手の平で持て遊び
空高く飛ばしもせず
少女はいつも只待って居た

垣根越しに行き過ぎる
足音に耳澄ませ
来ぬ人のやさしさを
少女は一人只待って居た

風に乗せて飛ばそうよ
キララ キラララ キララララ
高く打ちあげ飛ばそうよ
キララ キラララ 紙風船
少女はまだ知らないのかな
思ったより空の青いことを

秋が行き冬が去り
春の陽が萌え出しても
紙風船見つめて
少女は何故か只待って居た

早く外(おもて)に出てごらん
キララ キラララ キララララ
暮れる夕陽にあざやかな
キララ キラララ 紙風船
少女はいつ気づくのかな
思ったより空の広いことに

紙風船ふくらませ
手の平で持て遊び
空高く飛ばしもせず
少女はいつも只待って居た
×