湘南アフタヌーン

汽車の窓 頬杖つけば
流れゆく冬は影絵ね
旅人の振りして浜辺を
横切れば あなた住む町
想い出は 海を渡って
昔から吹いてくるのよ
くちびるがまだ寒いのは
人恋しさのせいでしょう

年老いた漁師の人が
手を休め 笑いかけてる
白ペンキめくれたボートが
焦げた夏 名残らせていた
思い出は 海を渡って
昔から吹いてくるのよ
空っぽな胸の透き間を
白いかもめがすり抜ける

ひざまでの波のつめたさ
死ぬ気など消えうせるだけ
流木を集めたたき火に
ばかだねと泣く いくじなし
想い出は 海を渡って
昔から吹いてくるのよ
晴れあがる湘南の空
悲しみが透き通る
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