赤い花緒

赤い花緒に 浴衣の君を
まだはっきりと覚えています
幼なじみの君を妻にと
心に決めて何年過ぎたのか

二階の窓に すだれがおりて
黄色い灯りが路地にもれるころ
ふろ屋の帰りに君の姿が
うすぼんやりとゆれて見えた

かなかな蝉の声がする頃
見知らぬ人に嫁いだ君を
何もできずに僕は一人で
ひざをかかえて泣いていました

こんなかたちの愛があるなんて
きっと誰にもわかりはしない
赤い花緒とおさげの君を
心の妻と生きてゆきたい
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