夏バテ

耳の奥に残ったまま 出てこないプールの水
あなたの声や瞬きが あたしからずっと離れない

どうして台所に来たのか ぼーっとしてて覚えてない
効きの悪いクーラーと 湿っぽいあたしが揺れている

思い出すの 綺麗に割れたあのグラス
もう一度重ね合わせたら
何も無かったかのように 戻れたらそれはそれでいいのに

優しくゆっくりしめつけた 心がやっと気づいて泣いた
あなたも同じように今 少しで良いから思い出して欲しい

たまに赤く光る画面に 目をやれどあなたじゃない
あの日見つめて引き止めた あたしが悪いのかあなたのせいか

椅子にかけたシャツにできた浅いシワを
そのまま持って帰ったね
膝の横に置いた手の距離 数センチ 長くて愛おしかった

冷たい床にくちづけて
季節は秋桜 雪のマフラー
飲み込み吐き出したままのあなたの思い出 どうしたらいい

この部屋にある全ても あたしが水をあげなくなったら
静かにさよなら 枯れて行くのでしょう

優しくゆっくりしめつけた 心がやっと気づいて泣いた
あなたも同じように今 少しで良いから思い出して欲しい
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