流れ雲

夢の果てなく追いかけて
花の峠を 越えた人
風が笛吹く ヒュウヒュルル
胸も寒かろ オーイオイ
赤い夕陽に 呼んだけど
やせた山彦 帰るだけ
故郷を出たときゃ おれだって
でっかいのぞみを 持ってたが
みんなどこかへ とんでった
それでも場末の居酒屋で
ほらを肴にひとり酒
これもきらくで ああ いいもんさ

雨がしょぼしょぼ 降る夜更け
送っていくわと 女の子
いいことあるかと 思ってた
ところが オンボロアパートの
前でじゃあねと それっきり
せんべ布団が ああ 身にしみる

昨日 おやじの手紙来て
おまえは みどころあったから
期待をしてると 書いてある
泣くなよ おふくろ 運命だよ
草がなければ 花だって
目立ちゃしないと ああ ひとりごと
祭り花火に 頬そめて
ひとつ想いを わけた人
つぐみなぜ啼くヒュウヒュルル
泣いているだろ オーイオイ
共に暮して いる筈の
窓に落葉が 降るばかり

夢は浮雲 流れ雲
どこをさすらう 遠い人
雲がくるくる ヒュウヒュルル
早くお帰り オーイオイ
せせていろりの 火のそばで
わらべ唄でも きかせたい
×