最後の五尺玉

真っ暗な夜空に
ヒュルヒュル 昇ってく
星のかけらたちを
詰め込んだ火の玉
この瞬間が一番好きだ

ベランダ 椅子を出して
冷えたスイカ 頬張って
2人で眺めてた
最後の花火大会

僕たちのこの恋も
打ち上げられた五尺玉
美しく開(ひら)いたら
儚(はかな)く 後は消えるだけ
あの空に残るのは
夢の残像か
いい思い出ばかり
後悔なんてしない

銀色の大輪(たいりん)
一瞬の花びら
散ってしまうことに
寂しさはないのかい?
もう少し咲いていたいと…

手すりに頬杖つき
「終わっちゃうね」なんて
つぶやいた君の瞳(ひとみ)に
涙のしだれ桜

輝いたこの恋は
忘れられない五尺玉
ひと夏の太陽が
眩しい日々を照らしてた
黙り込む祭りの後
風も止んでいた
ただ部屋の扇風機が
何度も首を振ってた

僕たちのこの恋も
打ち上げられた五尺玉
美しく開(ひら)いたら
儚(はかな)く 後は消えるだけ
あの空に残るのは
夢の残像か
いい思い出ばかり
後悔なんてしない
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