津和野・旅情

ツワブキの 津和野は古い 城下町
霧がながれて 空がながれて明ける町
あゝもう津和野は秋よ
肩にはらはら もみじの色は
悲恋・坂崎 千姫の
思いかよわぬ まぼろしか

白壁と 千本格子 武家屋敷
ゆめを浮かべて ほそい掘割り水がゆく
あゝもう津和野は秋よ
青野山から しぐれる風に
ひとり吹かれりゃ ふる里の
君が恋しい 旅の宿

あゝもう津和野は秋よ
つるべ落しの 夕陽に追われ
朱(あか)い鳥居を くぐりぬけ
下る石段 ながい影
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